
G1情報

推薦レース
かなり久々でも⑤ヴィンブルレーの素質が一枚上と判断する。
目を引くのは、新馬戦でのハイレベルな実績。デビュー戦では、のちに重賞・葵Sを制することになるアブキールベイと半馬身差の接戦を演じた。2戦目はのちに桜花賞にも出走する勝ち馬と2馬身差。当時から素質の片鱗を見せていたが、勝ち上がりはダート戦だった。
その3戦目は初ダートながら、危なげない3馬身差の完勝。陣営も「芝でも勝てたと思うが、手っ取り早く勝たせるためにダートを選んだ」と明かしており、適性の高さを裏付ける内容だった。実際、兄のリューデスハイムもダートで3勝クラスまで上り詰めた馬。血統背景を踏まえても、この路線で軌道に乗ってくる可能性は高い。
今回は骨折による長期休養明けではあるが、その分だけ馬体のスケールもアップ。陣営も「じっくり乗り込んだぶん、心身ともに成長を感じる」と語っており、調整過程も順調そのもの。1週前には石橋脩が調教に跨がって高い評価を与え、助手も「いい意味で以前と雰囲気が変わっている」と絶賛。
鍵はレース勘だが、それを差し引いても1勝クラスで足踏みするような器ではない。調教の動きからも態勢は整ったと見てよく、昇級戦でもいきなり勝ち負けに持ち込めるはずだ。

推薦レース
2024年夏の新潟で行われた“伝説の新馬戦”と呼ばれる一戦。勝ち馬ジャナドリアは3連勝で雲取賞(JpnⅢ)を制し、2着ピカピカサンダーも未勝利から3勝クラスまで4連勝。他にも勝ち上がり多数という、まさに“出世レース”だったが──その3着馬が、⑪ルヴァレドクールである。
以降、我の強さ・気性面の課題により使い込みに難しさを見せながらも、前走の東京ダート1600mでは、正攻法から抜け出して3馬身半差の完勝。レース内容も、時計(1分37秒6・稍重)も優秀で、同日古馬1勝クラスに0秒1差という比較からも、当時のパフォーマンスがいかに高かったかが分かる。
今回、去勢明けで9か月ぶりという臨戦過程ではあるが、その間に脚部のケアも済ませ、しっかりと時間をかけてリセット。調教では、1週前、直前と2週続けて坂路で好時計をマーク。関係者も「以前より稽古で動けるようになった」「仕上がりは良い」と口を揃える。
実際、陣営が「変なところに肉がつくので去勢に踏み切った」と話す通り、今回は見た目にも馬体が締まり、精神面でも成長を感じさせる内容。20キロ程度の馬体減は「仕上がってきた証」であり、不安よりも前向きに捉えたい。
昇級初戦にはなるが、前走で負かした馬がその後に未勝利→1勝クラスでも好走しており、相手関係からも通用の目は十分。今回は再び得意の東京ダート1600m、勝利を挙げた舞台への再登場で、いきなりから通用しておかしくない。

重賞情報
年末の阪神JF、さらには桜花賞を見据える有力牝馬が揃った注目の一戦。その中でも一歩抜けた存在として推したいのが、②フェスティバルヒルだ。
新馬戦はやや幼さを見せながらもしっかり勝ち切り、2~4着馬はいずれも次走で勝ち上がり。中でも2着馬アルバンヌは続くサフラン賞を完勝。そんなハイレベルな一戦で勝ち切ったのがこの馬だ。
2戦目はGⅢ新潟2歳S。スタート後に位置取りが悪くなる不利がありながらも、直線は内めからメンバー中最速となる上がり32秒5の脚を繰り出して3着。「先のことを考えて少し大事に乗りすぎた」と陣営が話すように、慎重すぎる騎乗で射程圏外からの追い込み。勝ち馬には及ばなかったが、2着馬タイセイボーグとの差はわずかハナ。展開や位置取りを考慮すれば、評価は下がらないどころか、むしろ価値がある。
今回は中間も順調そのもので、放牧先でもじっくり乗り込まれ、帰厩後の追い切りでは年長の2勝クラスを圧倒。ウッドで追い出しを待っての豪快な動きは、状態の良さを裏付けるものだった。
距離短縮となる1400mも、むしろ歓迎材料。「マイルのスローより千四の流れの方が合う」という陣営の読みどおり、テンに行き脚がつく今なら中団から流れに乗る競馬も可能。牝馬限定戦でこの相手なら、地力で抜けている印象すらある。
鞍上には来日直後のC.デムーロを確保。彼の実績は言うまでもなく、なにより京都外回りでは他よりワンテンポ早い仕掛けでアドバンテージを築く騎乗が光っている。実際に、同馬の兄ミュージアムマイルも黄菊賞でC.デムーロの手綱で3馬身差快勝。テン乗りでも能力を最大限に引き出す手腕に期待がかかる。
「前走より落ち着きがあり、どっしりしてきた」と陣営。素質は間違いなく重賞級。牝馬限定のここは、GⅠ切符を掴むためにも取りこぼせない一戦となる。
春のクラシックで二冠とも好走しながら、秋は菊花賞を見送り、天皇賞秋に進路を取る──。この選択が王道の一手として定着しつつあるのは、言うまでもなくエフフォーリア(2021年)、イクイノックス(2022年)という存在の影響が大きい。
ともにダービーから秋天へ直行し、いずれも古馬を撃破。そこから年度代表馬へと駆け上がっていった。だがこのパターン、実は近年に限ったものではない。
古くは1988年のオグリキャップ(2着)、1996年のバブルガムフェロー(1着)など、3歳馬が秋天で堂々と古馬を撃破、あるいは互角以上に渡り合ってきた歴史が確かに存在する。
■鍵を握るのは“社台RH”のノウハウと決断力
なかでも注目すべきはクラブの中でも実績十分な社台レースホース(RH)の存在だ。
1995年 ジェニュイン(2着)
1996年 バブルガムフェロー(1着)
2004年 ダンスインザムード(2着)
2014年 イスラボニータ(3着)
これらの馬はいずれもクラシックで上位に食い込みながら、秋は菊花賞ではなく“秋天”という王道路線へ。社台RHは「どういう3歳馬なら通用するか」「どのタイミングで通用するか」を、実戦のなかで把握し、蓄積してきたといっていい。
そして今年、社台RHが送り込むのが、ダービー2着馬⑦マスカレードボールである。
■一切のブレなし。“本気”の布陣が整っている
坂井瑠が海外遠征で不在とはいえ、騎手候補は他にもいた。これまで騎乗経験のある戸崎、横山武といった実力者を差し置いてまで、ルメールを確保してきた背景には、並々ならぬ本気度が伺える。
しかも水面下では、かなり早い段階からルメール確保へ動いていたという情報もあり、陣営としてこの秋天が「目標」であったことは間違いない。
実際、ルメール自身もこの天皇賞・秋では破格の相性を誇る。過去7年で5勝。先週の菊花賞もエネルジコで3連覇を飾ったばかりだが、東京芝との相性は抜群で、土曜の東京芝では5戦5勝。馬場読みも冴えに冴えている。
■3歳馬にとっての“買い時”は今
もともとクラシック連対級の実力があれば、3歳馬でも秋天で十分に通用するのが近年の傾向。特に今年のメンバー構成を見渡すと、GⅠ馬こそ複数揃ったが、絶対的な古馬王者は不在。群雄割拠の中にあって、3歳の勢いと伸びしろはむしろアドバンテージになる。
実際、陣営や関係者の間からも、今回に向けて不安材料は一切聞こえてこない。仕上がりは上々。ルメールとのコンビも盤石。展開に左右されない脚質で、立ち回りの幅も広い。 ルメールの騎乗は、単なる「騎手強化」ではない。最初からこの舞台を取りに行くための用意周到なピースであり、そこに臨戦過程・馬の充実度・馬場適性・展開想定まで加われば、ここは“狙って獲りに来た一戦”と断言して差し支えない。
ここは迷いなく、3歳馬⑦マスカレードボールから入る。