厳選勝負鞍
爆弾穴馬
2走前に鼻出血を発症し、2番人気を裏切る形で8着に敗れた⑧エテオクロスだが、平日コンテンツでも触れた通り、それは一過性のアクシデントに過ぎなかったと見るべきだろう。
実際、前走では間隔を空けたことでコンディションが整い、さらに3キロ減の減量騎手の起用も功を奏して6番人気ながら3着と好走。人気以上の走りで復調気配を強く示している。このレースは結果的に万馬券決着(243倍)となり、マスターズでも的中をお届けすることになった。
陣営も「今は(鼻の症状も)落ち着いています。2走前はおそらく一時的なもので、もう影響は感じられません」と体調面に不安はない様子。中間の調整も順調で、しっかりと乗り込まれている点は好印象だ。
さらに注目すべきは、舞台設定と斤量面。緩やかなコーナーが続く東京コースはこの馬にとってベストな条件。そこに3キロ減の恩恵が加わることで、持ち味の前々で運ぶ形がより活きてくる。厩舎も「スタートが決まれば、前で押し切る形を取りたい」と勝負に出る構えを明言しており、ここは勝ち切りまで視野に入れたい局面だ。
厳選勝負鞍
北海道開催で毎年見逃せないのが、現地外厩(ノーザンF早来・空港)からの直接競馬場入りパターン。トレセンを経由しないこのケースでは、東西の調教班が一度も馬を確認できないため、状態把握が難しく「人気薄の激走」が頻発する要警戒ルートとなっている。
今回、⑦エヴァンスウィートがまさにその“直行便”パターン。半年以上のブランク明けにはなるが、関係者筋からは「リフレッシュ効果で馬体に実が入り、かなりパワーアップして戻ってきた」と成長ぶりを高く評価する声が届いている。
血統的にも注目度は高く、母は言わずと知れた名牝ハルーワスウィート。兄姉にはヴィルシーナ、ヴィブロス、シュヴァルグランといったGⅠ馬がズラリと並ぶ良血で、素質面は折り紙付きだ。
函館芝1200mではすでに勝ち鞍があり、洋芝への適性は実証済み。今回は展開次第でハマる可能性も高く、「前がやりあってくれれば差し込める。ジョッキーも感触は良かったようです」と関係者のトーンも上々だ。
厳選勝負鞍
武英智厩舎のスタッフが「この馬を一番乗りこなせているのはユタカさん」と口を揃えるように、②サウンドモリアーナは武豊との相性が抜群。厩舎としても「任せておけば上手く乗ってくれる」と全幅の信頼を寄せており、その鞍上起用自体が勝負度合いの高さを物語っている。
母サウンドリアーナは、かつて武豊とのコンビで端午S勝ち、ユニコーンSでは2着と好走。その子供であるサウンドプリズムやサウンドアレグリアも、いずれも武豊によって勝利に導かれており、今回のサウンドモリアーナも“ユタカ・ライン”に乗って軌道に乗りつつある一頭だ。
未勝利勝ちは逃げ切りだったが、実際には好位からでもしっかり脚を使える自在性が武器。陣営も「スタートが決まればハナも視野だが、番手でも問題ない。だいたい押し切れるんじゃないか」と手応えを感じている。前走後は一息入れたことで減っていた馬体も回復し、滞在競馬で落ち着いた気配が漂う点も好材料だ。
厳選勝負鞍
「乗り難しさはこの厩舎で一、二を争う」と関係者が話すほど、気性面に課題を抱える問題児の⑪レッドエウロス。ただし、能力に関しては“問題なし”どころか「ここでは頭ひとつ抜けている」との声もある。
もともとデビュー前に去勢されている点からも、その気性の難しさは想像に難くない。しかしレースでは一転、スムーズな運びから完勝。まだ奥を残した仕上がりで時計も平凡だったが、内容は上々だった。「前走は追うとモタれがひどくなるので、あえて追わなかった。それでも勝ったんだから、ポテンシャルは高い」とは厩舎筋のコメント。
今週の追い切りではテン乗り予定の大野が騎乗し、3頭併せの最後方から内に潜り込む内容。ラストは手応え十分にグイッと伸びており、助手からも「ここにきて尻上がりに調子を上げてきた」と評価は上々。やや気性の幼さは見せるが、稽古の息遣いも良化しており、完成度は一段階上がってきた印象だ。
もちろん当日の気配には注意が必要だが、気難しさをコントロールできれば昇級でも能力は通用する下地は十分。テン乗りでカギはあるものの、トータルの完成度と素材の良さを見れば、ここでも勝ち負け必至。
厳選勝負鞍
叩き2戦目、加えて初ダートへの条件替わりとくれば、⑬ソナタンに注目せざるを得ない。前走は休養明けで陣営の期待も高かった一戦だったが、直線では伸びを欠いての9着。「プラス20キロは成長分だと思っていたけど、あの止まり方を見るとさすがに重かったかな」と関係者は敗因を明確に認識している。
ひと叩きされた今回はその重さが解消される見込みで、稽古の内容も力強さが増してきた点は好材料。何よりダート適性に関しては、馬体のつくりや動きからも好感触が得られている様子だ。
「終いはしっかり使えるが、もうワンパンチ欲しいタイプ。ダートと鞍上強化でその分を補ってくれれば」と、巻き返しへ向けた期待も高まっている。
その鞍上にはルメールを配してきた点も見逃せない。あえてこのタイミングで手綱を託す背景には、現場サイドの明確な勝負気配があると見ていい。「ここで勝負になる」と陣営が見ているからこそ、トップジョッキーへの勝負依頼だ。
3歳オープン特別で連続4着──着順だけを見れば上々の戦績だが、内容を精査すれば「もっとやれていたはず」というのが関係者の本音。⑬ルヴァンユニベールは、それだけの素材であり、今回は自己条件での“結果が求められる”一戦となる。
デビューから一貫して手綱を取る高倉だが、陣営からは「もっと早めに動いていれば」「勝負所での仕掛けが中途半端」と、騎乗に対する課題の声も聞かれている。「これで勝ち切れなければ乗り替わりも…」と、厳しい空気が漂う中での出走だけに、鞍上としても背水の陣で臨むことは間違いない。
この馬の持ち味は、じわじわと加速する持続力にあり、脚抜きの良い馬場ではなく、時計がかかる乾いたダートの方が合っている。現状の阪神ダートはまさに願ってもない馬場状態で、地力を発揮できる絶好の舞台設定。今回は迷わず◎評価で臨みたい。